恋愛懺悔①

自分を尊重してくれる人を自ら突き放してしまったお話。

 

高校生の頃、ブログを通じて彼女ができました。

オフで出会った時に、向こうから告白されて、付き合うこととなりました。

私にとっては初めての恋人だったので、とても嬉しくて、付き合ってる間は毎日のように連絡を取っていました。

とにかく私は「良い彼氏」でなくてはならないと思い、日々「モテるためのハウツー本」を読んで勉強し、毎日のように好きとメールを送っていました。

相手は相手で、私の考え方や書いた文章を尊重してくれる子で、男子校で揉まれてまるで垢抜けない私のことを「かっこいい」と言ってくれました。

 

けれど私は、相手が私の考えを、文章を尊重してくれることを、私のことをよく評価してくれることを、心からは信じられずにいました。

「自分が恋人としての役割をしっかりと果たさなければ、この人は私のことを好きではなくなる」と信じていたのかもしれません。

だから私は、恋人としての役割を全うしようと、半ば強迫的に努力をしていました。

 

彼女の創作、趣味、考え方が理解できないと、「理解できない自分は、恋人として充分な資格がない」と思って苦しみました。

彼女からのメールに、すぐに返信することができないと、罪悪感を覚えていました。

もちろん、彼女は私に趣味や考え方を強要したことなどありません。メールの返信が遅れてもそれほど気にしてはいない様子だったと思います。

けれども私は「相手を充分に理解できない自分」「相手へすぐに反応を返せない自分」であることが苦しくて仕方ありませんでした。「恋人としての役割」を果たせなかったことによって、見放されてしまうことが恐ろしくて。

 

私が考える「恋人としての役割」などというものを彼女は望んでいなかったと思います。

私は、自分で自分を勝手に縛って、勝手に苦しんでいただけです。

 

彼女がいない生活が忙しくなり、だんだんと彼女と連絡を取ることが少なくなってきたとき、私は「自分には恋人としての資格がない」と思うことの苦しみに耐えられなくなり、彼女に別れを告げました。

しばらくは彼女も復縁をしたい旨伝えてきましたが、私は取り合いませんでした。

彼女が何かをしたわけではありません。私の気持ちが冷めたわけでもありません。ただ、「ちゃんとしてない自分」に私が耐えられなくなっただけです。

 

その後、つい彼女のTwitterを、耐えきれず見てしまったとき、こんなようなことが書いてありました。

「私は、悩みを聞ける存在でいたかった。忙しい生活を支えたかった」

 

それを見て私は、とても後悔しました。

私を尊重し、支えようとしてくれる相手を、私は手放したんだ、と。

そして相手の気持ちを慮れなかったことに、深い罪悪感を覚えました。

 

当時の私からすれば、こうした考えになるのは仕方のないことだと、今思い返せば思います。仮に自ら手放すことがなかったとしても、何らかの形で別れは訪れていたかもしれません。

けれども私はその当時の罪悪感を、何年も引きずりました。

「自分が怖がっていることを相手にちゃんと伝えられれば、自分の苦しみをわかってもらう努力をすれば、何か違う道があったのではないか」と。

 

今更何を言っても、自分が傷つくのを避けるために、彼女を深く傷つけてしまった事実は変わりません。

それは過去のことで、どうしようもないことです。

でも、もしまた会えたら、今度はちゃんと、お礼をいいたいと思います。

 

「大事にしてくれて、ありがとう」と。